『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域 小禄クンジー

(写真は『小禄クンジー研究会』の皆さん(2025年7月撮影)

400年以上前の琉球王国時代にはじまり、戦前まで小禄地域で盛んに織られていた『小禄クンジー』。沖縄戦を境にその継承が一旦途絶えましたが、2007年に『小禄クンジー研究会』が発足し現在まで活動を続けています。

今年2025年は沖縄戦後80年。戦争を機に無くなってしまったものも多い中、時を経て地域の染織文化として再び息を吹き返し、その復活継承に向けて活動している『小禄クンジー研究会』についてご紹介します。

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域
濃く深い琉球藍の色が特徴の小禄クンジー
小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域
2007年発足当時の『小禄クンジー研究会』(写真は作業所開き時のもの)

【小禄クンジーの歴史についてはこちらの記事をご覧ください】
小禄の伝統染色文化『小禄クンジー』~その歴史と復活まで~

地域のサポートに感謝しながら活動

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄

2021年から現在の字小禄自治会館敷地内にある建物2Fに作業所を移設。
藍が好む藍染に適した環境で、場所を提供いただいた字小禄の地域の皆さんに感謝しながら活動しています。

「研究会発足から18年経ちますが、これまで地域の皆さんに助けてもらいながら、そして先輩方のおかげでここまで楽しくやってこられました」と研究会の皆さん。

毎週水曜日 14:00~17:00 に活動しています。

『沖展』に入選しました!【小禄クンジー研究会】|那覇市小禄
小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域

藍建て、糸染め、織りまで

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域
琉球藍

小禄クンジーの魅力は沖縄県産の琉球藍で繰り返し黒に近くなるまで染め重ねることで生まれる深い藍色。

小禄クンジー研究会発足までは染め手の消失が最大の課題でしたが、現在は研究会で藍建て、糸染め、織りまで一貫して行い、その技術の復活継承に取り組んでいます。

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域
染色作業
小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域
天日干し

糸染から織、そして作品が出来上がるまでは複雑な工程と長い期間を要するため、そのすべてを習得するのは大変なことですが、織経験豊富な方や沖縄県認定の伝統工芸士の方もおられ、そのメンバーがサポートしながら会員同士で技術を共有できているので研究会が継続できているそうです。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
どんな図柄にするかなど設計してから必要な糸(色あい、量など)を染める
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
帯や小物も

戦火を逃れ残った貴重な小禄クンジーの調査

沖縄戦でその多くが焼失してしまった小禄クンジーですが、戦火を逃れ奇跡的に家庭に残っていたものもあり、寄贈またはお預かりして調査し記録に残し研究に役立てています。

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域

デザインや用途、図案、経糸緯糸の色合いサイズなど仕様に関しての調査のほか、持ち主の方には様々な聞き取りをして記録しています。

戦前に織られ着物から洋装にリメイクされたものも多くどんな経緯で現在の形になったのか、なども記録。祖母が嫁ぐ母に持たせた着物をその娘が洋装に仕立て直した、戦時中は豪の中に隠していた、など大切に残され受け継がれてきたものばかり。こうした記録は地域にとっても貴重で興味深い資料となっています。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
元々は着物だったものを洋装などにリメイクして着用し、残ってきたものも多い。写真は上下にセパレートさせたもの。日常着や作業着として着用していたのだろうか

展示会等による普及啓発活動

これまでに様々な展示会等で小禄クンジーについて紹介し、その普及啓発のための活動を行なってきました。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
小禄クンジー研究会発足10周年記念展(JA小禄3Fホールにて)2017年開催
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
宇栄原自治会敬老会で開催された小禄クンジーファッションショー 2012年開催
『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
コザ信用金庫小禄支店で開催された小禄クンジー研究会展示会 2025年開催

沖展への挑戦

2025年開催の第76回沖展の織物部門にて、研究会メンバーの屋冨祖さんの作品が入選しました。

『沖展』に入選しました!【小禄クンジー研究会】|那覇市小禄
第76回沖展織物部門入選 2025年
『沖展』に入選しました!【小禄クンジー研究会】|那覇市小禄
「藍が濃く染まったので嬉しかったです」と入選した屋冨祖さん。手前が入選した着尺

研究会として以前から沖展への挑戦は続けてきており、入選などによりメディアで取り上げてもらうことで小禄クンジーの認知を広げていく機会にしています。また、こうした機会は研究会会員のモチベーションにも繋がっています。

また、入選した着物を発注したのは地元小禄の小禄老人クラブ「親和会」会長の東江さん(写真右)で、こうした地域の方々とのつながりも小禄クンジーの復活継承への大切なピースとなっています。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
右:第76回沖展織物部門入賞 の着物 / 発注者の小禄老人クラブ「親和会」会長 東江さん
左:小禄クンジーをあしらったかりゆしウエア / 字小禄自治会会長 高良さん

クンジー織り体験できます

作業所にて、小禄クンジーの織り体験ができます。1時間ほどで素敵なコースターを織ることができます。研究会スタッフがやさしくサポートしてくれますので初めての方でも大丈夫です。(有料)
詳しくは小禄クンジー研究会へお問い合わせください。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
夏休みには毎年、地域の学童クラブに通う子どもたちが体験に来ています。初めての子どもたちもすぐに覚えて、トントン、トントンと楽しそうに織っていますよ

現在、小禄クンジー研究会は会員が20数名。

「地域に伝わる織物をしてみたい」

「自分でクンジーを織って着物を作ってみたい」

「自分で織った作品を母のお祝いのお返しにプレゼントしたい」

など、クンジーを始めたきっかけは様々ですが
もう一度、地域の伝統染織を織っていこう、という目標を共有しながら、そして楽しみながら、再び、小禄地域の伝統織物文化としての復活に向けて、歩みを進めています。

「トントン、トントン」。

研究会の建物から聞こえる、機織りの心地よい音。
昔は小禄のあちこちから聞こえていた音が、時を経てまた小禄に戻ってきました。
この音を絶やさぬよう、これからも地域みんなで守り繋げていきたいですね。

『小禄クンジー研究会』〜小禄の伝統染織文化・小禄クンジーの復活継承に向けて〜|那覇市字小禄
\ お家に眠っているクンジーありませんか?/
ご実家や親戚の家などに眠っている小禄クンジーの着物等がありましたら貸してください!調査させていただきご返却いたします。
擦り切れているものや継ぎはぎだらけのものほど大歓迎です!
ぜひ研究会までご連絡ください!


動画でぜひ、心地よい、機織りの音をお聞きください。

小禄クンジー研究会
小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域

小禄の伝統染織文化『小禄クンジー』〜その歴史と復活まで〜 |那覇市小禄地域

2025年8月6日
『沖展』に入選しました!【小禄クンジー研究会】|那覇市小禄

小禄クンジー研究会
作業所:那覇市小禄5-4-6 字小禄自治会館内
活動日時:毎週水曜 14:00-17:00
※お問い合わせは字小禄自治会館までお願いします
098-857-8112