先日の旧暦5月4日のユッカヌヒー(新暦6月21日)に字大嶺地区の伝統行事であり那覇市無形民族文化財の『字大嶺地バーリー』が開催されました。自治会館の建て替えやコロナ禍の影響もあり、実に4年ぶりの開催となりました。
大嶺のハーリーの始まりは1868年(明治19)ごろ。『大嶺の今昔』(字史)には、大嶺の漁業者(ウミンチュ)は那覇ハーリーの「久米舟」の漕ぎ手として参加しており、その姿を見に、多くの字民も那覇ハーリーを見物に行っていたそうですが、ある年に集落内に伝染病が流行り、那覇ハーリーを見物に行けなくなったので前ヌ浜(メーヌハマ)でハーリーを漕いで見せたのが始まりと伝えられている、と書かれています。
そして『地バーリー』は遠浅で沖の方で漕いでいたハーリーを十分見ることができなかった人達に、ハーリー舟を浜へ担いできて舟を漕ぐ様子を見せたのが始まり、と言われているそうです。
大嶺御嶽で地域発展を祈願し『御願バーリー』を奉納
自治会館での地バーリー演舞に先がげ、自治会館近くにある大嶺御嶽にて地域発展を祈願し『御願バーリー』を奉納しました。
御願バーリー奉納後は、トラックの荷台を爬龍船に見立て、周辺地域を道ジュネー。
そして、いよいよ 字大嶺自治会館にて、4年ぶりの『字大嶺地バーリー』が始まります!
4年ぶりの『字大嶺地バーリー』。力強い演舞で地域がひとつに。
組合員と地バーリー保存会による演舞からスタートした地バーリー。
2022年6月に完成した新しい字大嶺自治会館では初めての開催となり、4年間の空白を埋めるように多くの人が集まりました。
字大嶺地バーリー保存会の皆さんによる力強い演舞で会場は大盛り上がり。その後は、婦人会やこどもたち、来賓の方々で地バーリーを体験しました。
海で行うハーリーとは違って、こうして色々な人が気軽に体験できるのも地バーリーの良さかもしれません。
また、会場では、前日に追い込み漁で取った魚(エーグワなど)を朝早くから婦人会の方々が調理し、提供されていました。
もともとは半農半漁の村であった大嶺らしさ、そして ふるさとへの誇りを感じます。
今回、カメラマンの撮影が入っており、
「追い込み漁から撮影してもらっています。漁師が減ってきていることもあって、知らせていきたいという想いがあります。」(字大嶺自治会館 ウエタさん)
かつての大嶺集落は先の戦争で土地接収され、現在では那覇基地・那覇空港となり、ふるさとで暮らすことはできなくなりました。そんな苦難を乗り越えながらも守り続けてきた大嶺の伝統文化・地バーリー。今回も自治会館の建て替えやコロナ禍を乗り越え、力強く、次世代へと受け継がれていきます。
動画でもぜひご覧ください!